ウイルス感染の対策について

 先日紹介した記事で、新型コロナウイルスを受けて行われた音楽活動での感染リスクについて書きました。このコロナ禍で役に立つと思いますが、よく考えたら今後も新型コロナ以外のウイルスが流行した際にも役に立つのでは無いかと思うので、まとめておきたいと思います。

ウイルスの感染経路について

ネットを調べると、ウイルスや菌の感染経路は大きく分けて下記の4つだそうです。

①「空気感染」:感染している人の口から飛び出した飛沫に含まれている病原体が感染性を保ったまま空気の流れに乗って拡散し、他の人がそれを吸い込むことで感染すること。

②「飛沫感染」:咳やくしゃみ、会話によって飛び散ったしぶき(飛沫)に含まれる病原体を、近くにいる人が吸い込むことで感染すること。

③「接触感染」:感染している人の皮膚や粘膜に触れたり、病原体がついたドアノブや手すりなどの物に触れたりした手で、自分の鼻や口を触れることで感染すること。

④「経口感染」:病原体に汚染された水や食べ物を口にすることで感染すること。

いずれも、人が集まると感染リスクが高まる物で、テレワークとかオンラインでの決済や買い物が普及すれば自然と減っていく物です。が、現実には人と人が直接会わなければならないことはたくさんあり、合唱(音楽)活動もその中の1つです。

①②はマスクなどで対策はできますが、声を出したり歌ったりするとき、スポーツのように呼吸が激しくなる時、それでも漏れ出たりする可能性があるので、実際はリスクをゼロにすることは難しく、今回紹介する実験の結果などをしっかり分析する必要があると思います。

③は飛沫よりはリスクの高い物(コト)が目に見えるので対策がしやすいですが、エタノール消毒などをしすぎて肌荒れとかもあるので、こちらも、リスクの高い低いが分かる実験があると良いですね。今後見つけたら分析したいと思います。

④は上下水道とかが無い時は大きな問題になりがちですが、この問題は現代日本ではかなりの部分が技術によって解決されているのでは無いかと思います。

と言う事で、①②の部分は目に見えずまた技術での解決も現状は難しいので、定量的な実験結果をしっかり見てリスクと向き合っていく必要があるかと思います。実際過去に合唱団の中でインフルエンザが流行ったりすることはあったので、この結果を持って冬の練習の時の席配置とかも考えていけたら良いかと思います。


実験について

実験

調べてみると、下記の2つの実験があるようです。

クラシック音楽演奏・鑑賞にともなう飛沫感染リスク検証実験報告書

 2020817

②声楽・合唱における飛沫感染リスク検証実験 報告書

 20201211

があるようです。

ちなみに、こちらの記事でも一部紹介させて貰いました。

実施者

こちらの報告をした団体は下記の2つです。

・クラシック音楽公演運営推進協議会

 新型コロナウイルスの影響から「クラシック公演に特化した公演の再開にむけたガイドラインとロードマップを策定し、クラシック音楽公演を開催する関係者に普及していくこと」を目的に2020年5月に発足し、一般社団法人日本クラシック音楽事業協会、公益社団法人日本オーケストラ連盟、公益社団法人日本演奏連盟などで構成されているそうです。

一般社団法人日本管打・吹奏楽学会

 管打楽器分野ならびに吹奏楽分野にわたる普及・振興に関する事業を行い、もって我が国の音楽文化の発展に寄与することを目的とする団体だそうです。

いずれも、音楽系の団体ですが、単独の団だけでは大きな実験ができないもののみんなであつまればしっかりとした実験分析が行えるのでとても良いと思います。出来れば、感染症学会とかのお墨付きが出来ると、客観的な信憑性が増す気がしますが、いきなりはなかなか難しいですよね。

実験環境

実験場所

新日本空調株式会社 技術開発研究(⻑野県茅野市宮川7033-182)

と言う所でどちらも行われています。 クリーンルームや粒子可視化実験などができる試験場を備えているそうです。

実験装置

①の実験

RIONKC-52

METONEHHPC6+

②の実験

6チャンネルハンドヘルドパーティクルカウンタ

同じ場所でやっているのに、使っている装置が違うのは何でなのでしょうか?良く分からないですが、いずれもしっかりとカタログやHPに載っているものであるようです。

実験結果(②の実験その1)

いくつか結果はありますが、下記のように歌唱用マスクを利用すると、口元にしか粒子が飛ばないことが分かります。各測定点は50cmメッシュですので、50cmも離れればほとんど直接飛沫が飛ぶことは無いものと思われます。

 
 
逆に言うと、 マスクをしないと、50cm~100cmのところにそれなりに飛沫が飛んでしまうようです。
 
 

実験結果(②の実験その2) 

飛沫を可視化する試験をした結果、マスク無しではやはり飛沫がかなり飛ぶのに対して、マスクをすることにより水平方向にはほとんど飛沫が飛ばないと言う事が分かりました。

まとめ

これらの結果から分かることは、

・マスクをして歌うこと

・充分な距離を置くこと

・楽譜や椅子や譜面台など、手元に置いてあった物は消毒すること

を徹底すれば飛沫を経由した感染はかなり防げると言う事です。なので、しっかりと対策をした上で、音楽活動をしていくことは科学的にリスクが低いという事が分かりました。

ただし、これらの飛沫が密閉された空間で溜まって空気感染してしまうリスクなどはこれらの実験からは分からないので、換気をしっかりとすることは必要そうです。 


ちなみに、②の実験結果から、「全ての被験者に対してベートーベン第九のtの子音の所で最も多くの粒子が観測されたそうです。」だろうなー。とは思っていましたよ。第九の時うしろのおじさんが気合い入れすぎてると唾飛んでくるから…。次回からは気を付けよう。

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